テンプレートがなかったから、考えるしかなかった

CMSベースで育った思考設計という土台

Webデザイナーになりたい人、なりましたという人が、ここ数年で一気に増えました。
学習環境もツールも整い、テンプレートを使えば、短期間でそれらしいデザインを作ることができます。

それ自体は、とても良い流れだと思っています。
ただ最近、「作れているのに自信が持てない」「テンプレート以外の依頼が来た瞬間、止まってしまう」という声をよく聞くようになりました。

原因は、センスでもスキル不足でもありません。
多くの場合、「考える順番」を知らないまま、完成形だけを学んできたことにあります。

私は最初からテンプレートを使わなかった……というより、使えるものがありませんでした
あったのは、CMSだけ。しかも最初に触ったのは、今のWordPressではありません。

目次

私のCMSベースはMovable Typeから始まった

CMSってなに?と聞かれたら、私はこう答えます

CMSとは、「コンテンツ・マネジメント・システム」の略です。
簡単に言えば、Webサイトの中身を管理・更新するための仕組みのこと。

WordPressやMovable Typeも、このCMSに含まれます。

ただ、私の中でCMSは「ブログを書くためのツール」でも「更新をラクにする仕組み」でもありません。

CMSは、情報をどう整理し、どう構造として見せるかを考えるための器だと捉えています。

ページは何のために存在しているのか。
この情報は、どこに置くべきなのか。
一覧にするのか、個別に見せるのか。

CMSを使うということは、こうした判断を、常に求められるということでもあります。

だから私は、CMSベースでサイトを作ること自体が思考設計のトレーニングになっていたと感じています。

私が最初に本格的に触れたCMSは、Movable Typeでした。
https://www.sixapart.jp/movabletype

今のようにテーマやテンプレートが豊富に用意されている時代ではなく、ページ構成も、情報の出し方も、すべて自分で考える必要がありました。

  • どの情報を
  • どの順番で
  • どのページに配置するのか

これを決めないと、1行も進まない。

Movable Typeは、「デザインを作る前に、構造を決めるCMS」だったと思います。
この経験が、私の中でCMS=器・構造・設計という認識を作りました。

テンプレート学習が主流になった理由

今、テンプレート学習が主流になっている理由は明確です。

早く形になる。
操作に慣れやすい。
成功体験を得やすい。

特に学び始めの段階では、これは大きなメリットです。
完成形が見えることで、「自分にもできる」という感覚を持ちやすい。

ただし、テンプレート学習は完成形をなぞる学びでもあります。

なぜその構造なのか。
なぜその順番なのか。
別の組み立て方はないのか。

こうした部分は、あまり語られません。

WordPressに移っても「考え方」は変わらなかった

その後、WordPressを使うようになりましたが、私の中の考え方は変わりませんでした。

確かにWordPressにはテーマがあります。でも、テーマはあくまで「枠」。
中に入れる情報、どのページを起点にするか、どこで読者に判断してもらうか。

それを決めるのは、制作者です。

Movable Typeで叩き込まれた、「まず構造を考える」という癖は、WordPressに移ってからも、ずっとベースになっています。

テンプレート外の依頼が来た瞬間に起きること

実際の仕事では、テンプレートどおりの案件はほとんどありません。

  • 業種が違う。
  • 情報量が合わない。
  • 目的が曖昧なまま相談される。

このとき必要なのは、テンプレートを探す力ではなく、「どう組み立てるか」を判断する力です。

テンプレート中心で学んできた人ほど、ここで立ち止まりやすくなります。それは能力の問題ではなく、設計の経験が不足しているだけです。

構造が決まると、デザインは迷わなくなる

構造とは、見た目の話ではありません。

  • 情報の役割
  • ページ同士の関係
  • 視線と判断の流れ

これらが整理された状態が構造です。

構造が決まると、色や装飾、フォント選びは自然と絞られていきます。逆に、構造が曖昧なままデザインから入ると、テンプレートを変えても違和感は消えません。

AI時代にCMSベース思考が生きてくる理由

AIやデザインツールの進化で、テンプレートはさらに増えていき、「それっぽいもの」を作るだけなら、誰でもできる時代です。

だからこそ価値が残るのは、

  • 何を目的に
  • どこを入口にして
  • どう判断してもらうか

を考えられる人です。

CMSベースで育った人は、ページを「部品」ではなく「構造」として見ているため、その視点があると、AIは脅威ではなく、強力な補助役になります。

テンプレートは悪者ではない

誤解してほしくないのは、テンプレートを否定しているわけではありません。

テンプレートは、思考を助ける道具です。
ただし、思考の代わりにはなりません

「このテンプレートは、どんな構造を前提にしているのか」と一段引いて見ることができれば、テンプレートは武器になります。

「ツールを選ぶ前に、何を考えているか」については、別の記事で、もう少し具体的に整理しています。

まとめ|CMSベースで育った思考設計という土台

  • テンプレートは入口としては優秀
  • 仕事はテンプレ通りに来ない
  • CMSは構造から考える訓練になる
  • AI時代ほど、判断軸の価値は高まる

私は特別なことをしてきたわけではありません。
ただ、Movable TypeというCMSから始まり、「考えないと進まない環境」に長くいた。

その積み重ねが、今になって強みとして残っているだけです。

もし今、テンプレートを増やしているのに不安が消えないなら、一度立ち止まって、構造から考えてみてください。

それは遠回りに見えて、あとで迷わなくなる近道でもあります。

この記事を書いた人

福本 マキのアバター 福本 マキ Web Architecture Designer (世界観を構造として設計する)

肩書きは私の未来への指針から生まれた造語。 世界観を、建築みたいに「言語化→構造→設計→デザイン」で組み立ててます。 最初からデザインに入らないデザイナー。 それが私の強みで、変わらない想いです。

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