ホームページやブログなど、発信の相談を受けていると、ほとんどの方が最初に口にするのは「集客」という言葉です。
SEOをやったほうがいいのか。
SNSを強化したほうがいいのか。
広告を出すべきなのか。
集客するためには。
売上をあげるためには。
もちろん、それらはすべて間違いではありません。
ただ、私はWebデザイナーとして、いつも少しだけ立ち止まります。
「このサイト、そもそも辿り着ける構造になっていますか?」
どれだけ人を集めても、中で迷わせてしまえば、成果にはつながりません。
この記事では、私がなぜ「集客より先に、構造を考えるべきだ」と考えているのか。そして、それがWebデザイナーの仕事として、どんな意味を持つのかをお話しします。
集客がうまくいかない本当の理由
集客がうまくいかないとき、多くの場合、原因は「集客方法」ではありません。
- SEOの知識が足りない
- SNS運用が苦手
- 広告費が足りない
そう思われがちですが、実際にサイトを見てみると、別の問題が見えてきます。
それは、
- 何をしているサイトなのか分からない
- 誰のためのサービスなのか曖昧
- 次に何を見ればいいのか分からない
という 構造の問題 です。
集客とは、あくまで「入口」を増やす行為であり、入口の先が整理されていなければ、人は中で立ち止まり、離れていきます。
SNSは「点」にはなれても、「構造」にはなれない
ここではSNSの話をしますが、これはSNSの是非を語るためではありません。
「構造がない集客」がどういう状態になるのかを、いちばん分かりやすい例として取り上げています。
最近、SNSを見ていると、SNSを「集客の軸」として捉えている人が、以前より増えているということです。
確かに、SNSは始めやすい。
アカウントを作れば、すぐに発信ができ、反応も見えやすい。
「とりあえずSNSを頑張れば、集客できる」という考え方が広がるのも、無理はありません。
ただ、Webデザイナーとして見ていると、ここには大きな落とし穴があります。
それは、SNS単体では「構造」を作れないということです。
SNSは「ひとつの点」でしかない
SNSは、あくまで情報の「点」
- 投稿は時系列で流れていく
- 過去の情報は埋もれていく
- 全体像を一度に見せることが難しい
どれだけ丁寧に発信していても、SNSだけでは、
- どんな考えで仕事をしているのか
- どんな人なのか
- 何を大切にしているのか
といった判断材料を、順番立てて伝えることができません。
つまり、SNSは「出会うきっかけ」にはなれても、「理解してもらう場所」にはなりにくいのです。
「SNSだけ頑張る」ことのリスク
SNSが怖いのは、簡単に始められる分、リスクが見えにくいところです。
- アルゴリズムが変われば、届かなくなる
- アカウントが止まれば、すべてが止まる
- 過去の積み重ねが、資産として残らない
しかも、SNSは「今、目に入った情報」だけで判断されやすい場所でもあります。本来であれば、じっくり読んでほしい考え方や背景も、一瞬で流れてしまう。それを集客の中心に置いてしまうと、どうしても不安定な設計になります。
SNSの最大のリスクは「届かない人が見えなくなること」
SNSのリスクというと、「炎上」や「アルゴリズム変更」を思い浮かべる人が多いかもしれません。
でも、Webデザイナーとして見ていて、私がいちばん大きいと感じているリスクは、少し違います。
それは、最初から届かない人が存在していることです。
会員登録しなければ、そもそも見られない
たとえば、会員登録やログインをしなければ閲覧できないSNSの場合。その時点で、アカウントを持っていない人には、情報が一切届きません。
- 登録していない
- 使っていない
- そもそも苦手
このような人たちには、どれだけ丁寧に発信していても、「存在していない」のと同じ扱いになってしまいます。これは、集客の話というより、構造の話です。
SNSは「閉じた場所」になりやすい
SNSは、便利な反面、とても閉じた環境でもあります。
- プラットフォームの中だけで完結する
- 外から全体像を見せにくい
- 投稿が流れ、蓄積されにくい
つまり、構造を外に広げていくことができない。Webデザイナーの視点で見ると、これはかなり不安定な設計です。
垢バンのリスクは、努力と無関係に起きる
もうひとつ見逃せないのが、アカウント停止(いわゆる垢バン)のリスクです。
これは、発信内容が悪いから起きるとは限りません。
- 仕様変更
- 判定ミス
- ルールの曖昧さ
このような理由で、ある日突然、発信の場を失う可能性があります。2025年に入ってからも、「理由がよく分からないまま制限された」という声は、決して少なくありません。
SNSだけに集客を依存していると、その瞬間に、すべてが止まる。
これは、かなり大きなリスクです。
2025年12月以降、実際に起きていること
これは、少し前まで「一部の人の話」だと思われていたかもしれません。でも、2025年12月に入ってから、私のまわりでも、同じような内容を何度も見るようになりました。
自分のサイトのURLを、DMやコメントで問い合わせをくれた相手に送っただけで、アカウントが1週間停止された
というケースです。
しかも、無差別にURLを送っていたわけではありません。
- 相手から問い合わせがあった
- 「詳しくはこちらです」と、自分のサイトURLを送った
- 営業行為でも、スパムでもない
それでも、一定期間、投稿やDMの機能が制限される。こうした話は、決して珍しいものではなくなっています。
「自分のサイトなのに、自由に案内できない」という現実
ここで、ひとつ立ち止まって考えてみてください。
- 自分で作ったサイト
- 自分のサービスを説明しているページ
- 正規の問い合わせへの返信
それにもかかわらず、SNSのルール次第で、案内できなくなる。これはもう、発信の仕方の問題ではなく、プラットフォームに依存している構造そのものの問題です。
SNSだけに集客を預けるリスクが、現実になっている
「垢バンは怖いけど、自分は大丈夫だと思っていた」そう感じていた人ほど、この変化に戸惑っています。2025年以降、SNSは「集客の場」であると同時に、強い制限を持つ場所になりました。
だからこそ、
- SNSだけで完結させない
- 案内先を1か所に依存しない
- 構造として「戻れる拠点」を持つ
この設計が、以前よりもずっと重要になっています。

Webデザイナーが最初に考えていること
私がホームページを設計するとき、最初に考えるのはデザインでも、SEOでもありません。
考えているのは、次のようなこと。
- このサイトは、誰が、どんな気持ちで訪れるのか
- 最初に見るページはどこになるのか
- そこから、どんな順番で情報を知ってほしいのか
- 最終的に、どんな判断をしてもらいたいのか
つまり、人の思考の流れ です。
Webデザイナーの仕事は、見た目を整えることではなく、「考えなくても辿り着ける道」をつくること だと私は考えています。
構造とは「情報の順番」のこと
「構造」という言葉は、少し難しく聞こえるかもしれません。
でも、実際にやっていることはとてもシンプルです。
構造とは、
- どの情報を
- どの順番で
- どの場所に置くか
という設計のこと。
たとえば、初めて訪れた人に対して、いきなり料金やサービス一覧を見せても、判断はできません。
- どんな考えで仕事をしているのか
- どんな人が運営しているのか
- 自分に関係があるサービスなのか
この前提が整って、はじめて「検討」が始まります。集客より先に必要なのは、判断できるだけの情報が、正しい順番で置かれていること なのです。

集客は「構造が整ったあと」に効いてくる
構造が整うと、集客は自然と意味を持ち始めます。
SEOで記事を読みに来た人が、関連記事を読み、プロフィールを見て、サービスページに辿り着く。SNSで流れてきた投稿からサイトに来た人が、迷わず全体像を理解し、「この人に相談してみよう」と思える。
これは、テクニックではなく、回遊できる構造 があるから起きることです。逆に、構造が整っていない状態で集客だけを強化すると、フォロワー数やアクセス数は増えても、成果は増えません。
Webデザイナーの仕事は「集めること」ではない
私は、コンサルでも、マーケターでもありません。
Webデザイナーとしてやっているのは、
だからこそ、「集客をどうするか」よりも前に、「このサイトは、ちゃんと判断できるか」を見ています。
集客は、そのあとで十分に間に合います。
2026年以降、構造の重要性はさらに高まる
AIの普及によって、情報をつくること自体は、どんどん簡単になっています。記事を書くことも、デザインをつくることも、誰でもできる時代になりました。
だからこそ差がでるのは、
という 構造の設計 です。
これは、テンプレートでは解決できません。
サイトごとに、目的も、背景も、使う人も違うからです。
まとめ|集客より先に、構造を考える理由
- 集客は「入口」を増やす行為であり、成果そのものではない
- 構造とは、訪れた人が迷わず判断できるための情報設計
- SNSは出会いの「点」にはなれても、構造をつくることはできない
- SNS単体に依存すると、届かない人や制限リスクを抱えることになる
- 2025年以降、URL案内だけで制限されるケースも現実に起きている
- 構造を持つ拠点があってこそ、SNSやSEOは「線」として機能する
- Webデザイナーの役割は、集客方法を増やすことではなく、判断の流れを設計すること
集客を考える前に、その先で人が「理解し、判断できる構造」があるか。そこを整えることが、これからの時代のいちばん安定した選択です。
この記事では「集客より前に考えるべき構造」について書きましたが、次に考えたいのは、その構造がどのように人を導くのか、です。
関連記事
前提を知る


考え方を深める

視点を切り替える


>
>
