「マーケティング」と聞いた瞬間、少し身構えてしまう人は少なくありません。
集客、導線、数字、売り込み。
そうした言葉が先に浮かび、どこか「自分の仕事とは違うもの」のように感じてしまう。
けれど、Webデザイナーの仕事をもう一度、構造から見直してみると、マーケティングは「売る技術」ではなく、
判断できる状態をつくる設計だと考えることもできます。
この記事では、私がWebデザイナーとして現場に立つ中で大切にしてきたマーケティングの考え方を、「売り込まない」「価格を表示する」という2つの視点から整理していきます。
Webデザイナーが考えるマーケティングの前提
多くの場合、マーケティングは「どうやって売るか」「どうやって集客するか」という話から始まります。しかし、Webデザイナーの視点で見ると、その前に必ず確認すべきものがあります。
それは、ユーザーが判断できる状態にあるかどうか。
- 情報は揃っているか
- 比較できるか
- 選ばない自由は残されているか
マーケティングとは、行動を促すことではなく、判断できる環境を整えることだと、私は考えています。
「売り込まない」という選択
Webデザイナーが考えるマーケティングの第一歩は、「売り込まない」ことです。
売り込まないとは、何もしない、伝えない、という意味ではありません。
- 必要な情報を先に出す
- 読み手が自分のペースで理解できるようにする
- 決断を急がせない
これはすべて、判断を尊重する設計であり、売り込みが強く感じられる場面では、多くの場合、判断材料が不足しています。
判断できない状態で背中を押されると、人は「選ばされた」と感じてしまう。Webデザイナーが担うべき役割は、その状態をつくらないことだと考えています。
価格を必ず表示する理由
もう一つ、私が強く意識しているのが価格を必ず表示することです。
個別相談やセミナーに参加しないと価格が分からない。問い合わせをしないと教えてもらえない。このような状態は、一見すると「丁寧」「一人ひとりに合わせている」ように見えるかもしれません。
しかし、受け手の立場で考えるとどうでしょうか。
- 価格が分からない
- 比較できない
- 断りにくい空気がある
- 高額商品を売られる
これは、売り込まれている状態とほぼ同じであり、Webデザインの視点で見れば、これはUX(ユーザー体験)の問題でもあります。

女性がマーケティングに疲れてしまう理由
マーケティングに対して「苦手」「難しい」と感じる人の中には、女性が多いように感じます。
それは、能力の問題でも、理解力の問題でもありません。多くの女性は、「どう売られているか」よりも先に、「自分はどうなりたいのか」を考えています。
- どんな未来を望んでいるのか
- どんな状態なら安心できるのか
- 自分の気持ちは、ちゃんと分かってもらえているか
そのため、専門用語が並び、ノウハウや理論が一気に語られると、それだけで「難しそう」「私には無理かも」と距離を感じてしまうことがあります。
これは、理解できないからではなく、共感が置き去りにされているからです。
セミナーや相談会のあとに起きがちなこと
たとえば、無料のセミナーや相談会に参加したとき。
「ちょっと話を聞いてみたい」
「今の自分を整理したい」
そんな軽い気持ちで参加した人ほど、最後に高額商品の説明に入った瞬間、気持ちが一気に下がってしまうことがあります。
それまで共感的に話を聞いてもらえていたのに、
突然、
- 金額
- 契約
- 期限
といった話が前に出てくると、この切り替えは、女性にとっては感情の断絶として感じられやすい。
「話を聞いてもらえた」から「売られる側」へ。
その変化についていけず、心が置いていかれてしまうのです。
だからこそ、価格は先に出しておく
ここで、
価格を先に表示しておく設計が生きてきます。
価格が事前に分かっていれば、
- その範囲で考えることができる
- 無理だと感じたら、静かに離れられる
- 話を聞くこと自体に集中できる
これは、売る側の都合ではなく、受け手の感情を守る構造です。
女性にとってのマーケティングは、論理の積み上げではなく、「安心して考えられるかどうか」。
売り込まないこと。
価格を隠さないこと。
それは、共感を大切にする人が自分の意思で選べるようにするための設計です。
判断できない構造が生まれるとき
人が迷う原因は、情報量が多いからではなく、多くの場合、判断に必要な情報が、正しい順番で出ていない。価格が最後まで分からない構造は、判断のタイミングを奪います。
結果として、「その場で決める」か「何となく断る」か極端な選択しか残らなくなる。断ったら、もう「次はない」と捉えるしかないのか?と不安になってしまう人もいるでしょう。
これは、マーケティングの問題というより、構造設計の問題です。
web上での法律 知っていますか?
ここで一つ、冷静に触れておきたい点があります。
価格を明示しない販売方法は、場合によっては法律に違反する可能性もあります。
特定商取引法では、1円以上のサービスを提供する場合、価格や支払い条件などを事前に明示することが求められています。
ここでは詳しく解説しませんが、「知らなかった」では済まされないケースもある。
何かサービスを進められ、どうするか?迷っている方は、必ず特定商取引法に基づく表記 があるか?確認しましょう。
この点については、別の記事で構造的に整理する予定です。
Webデザイナーが担うマーケティングの役割
Webデザイナーは、売る人ではなく、売る前の環境を整える人です。
- 判断できる情報設計
- 迷わない導線
- 選ばない自由を含んだ構造
これらを整えること自体が、マーケティングの一部だと私は考えています。
だからこそ、
それは優しさではなく、設計としての誠実さです。

まとめ
Webデザイナーが考えるマーケティングとは
- 売る技術ではなく
- 操作することでもなく
- 判断できる構造をつくること
- 売り込まないこと
- 価格を表示すること
それは、ユーザーの時間と感情を尊重する設計上の判断です。マーケティングが苦手だと感じている人ほど、実はこの視点をすでに持っているのかもしれません。

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