ホームページのナビゲーションというと、「メニューの並び」「項目の整理」だと思われがちです。でも、Webデザイナーとして数多くのサイトを見てきた中で、私はずっと違和感を感じていました。
メニューは整っているのに、なぜか迷うサイトが多い。
この違和感を説明するとき、私の中で一番しっくりくるのがショッピングモールのイメージ。ショッピングモールを歩くとき、私たちは「次にどこへ行こう」と毎回立ち止まって考えているでしょうか。
ほとんどの場合、
- 今どのフロアにいるかが分かり
- 近くにどんなお店があるかが見えて
- 自然と次の売り場へ足が向く
これは、動線と案内が、最初から設計されているからであり、私が考えるナビゲーションも、これと同じです。
ナビゲーションは「道」である
ナビゲーションとは、選択肢を並べることではなく、
ショッピングモールで言えば、
- フロアマップ
- 案内表示
- エスカレーターや通路の位置
これらが、「今どこにいて、次にどこへ行けるか」を考えなくても分かるようにしてくれます。
サイトのナビゲーションも同じあり、
- 今、どの情報を見ているのか
- 次に何を見ればいいのか
- どこへ戻ればいいのか
これが一目で分かる状態を、最初に設計する必要がある。なので私は、ページを作る前に、ナビゲーションから設計します。
なぜ「選択肢を増やす設計」は、親切ではないのか
多くのサイトでは、ナビゲーションを「メニュー」として考えられていますが、
- 伝えたいことを並べる
- サービスを全部載せる
- 情報を漏らさないようにする
パッと見では、親切そうに見えます。
でもこれは、ショッピングモールで言えば、
- 全部の店を同じ強さで並べる
- 今いる場所が分からない
- 案内がなく、地図も見づらい
そんな状態なのです。
迷う原因は、情報量ではなく、順番と道が設計されていないことです。
「特典が多いほど親切」という考え方が、迷いを生んでいる
選択肢が多いひとつに、よく見かける 「特典10大プレゼント」 にも、そのまま当てはまります。
パッと見た印象では、
- 特典が多い
- ボリュームがある
- お得に見える
とても親切な設計に見えるかもしれません。
でも実際には、特典をたくさん受け取ったあとで、
- どれから見ればいいか分からない
- 結局、開かない
- そのまま忘れてしまう
そんな経験をしたことがある人も、少なくないのではないでしょうか。
特典が多い=使われる、ではない
特典が使われない理由は、受け取る人の意欲が低いからではなく、多くの場合、順番と道が用意されていないからです。
- どれが今の自分に必要なのか分からない
- 何から手をつければいいか見えない
- 全部「同じような内容」に感じてしまう
結果として、「あとで見よう」が積み重なり、使われないまま終わってしまいます。
2026年から、「特典の量」は価値にならなくなる
さらに言えば、AIが当たり前に使われるようになった今、この傾向はもっと加速します。
- 調べれば出てくる情報
- どこかで見たことのある内容
- 同じような切り口のまとめ
このような情報は、特典としての価値を持ちにくくなっている。
10個の特典をもらっても、その中身が「AIに聞けば出てくること」「どこかで読んだことがある話」であれば、使われません。
本当に必要なのは「特典」ではなく「道」
ここで、ナビゲーションの話に戻ると、大切なのは、
ショッピングモールで言えば、
その状態をつくること。
特典も同じで、
このほうが、結果的に価値が伝わります。
特典を配るより、向き合う設計へ
なので私は、
を大切にしています。
情報を増やすのではなく、迷わせない構造をつくる。それは、ナビゲーション設計と同じ考え方です。

Webデザイナーが設計しているのは「情報の順番」
ナビゲーション設計で私が見ているのは、「何を載せるか」ではなく、
ショッピングモールでも、
- 入口付近には入りやすい店
- 奥に行くほど専門的な売り場
- 休憩できる場所が途中にある
このような配置には、理由があり、サイトも同じで、
- 初めて来た人が見る場所
- 少し理解が進んだ人が見る場所
- 判断したい人が見る場所
この順番を崩すと、どれだけ良い情報があっても、迷ってしまうのです。ナビゲーションとは、情報の順番を可視化する設計です。
道ができると、訪問者は迷わなくなる
ナビゲーションが整うと、訪問者の行動は大きく変わります。
- 立ち止まらなくなる
- 次に進むことに不安がなくなる
- 自分で選んでいる感覚が生まれる
これは、ショッピングモールを「歩いているだけで回れてしまう」感覚と同じであり、
この状態をつくることが、ナビゲーション設計の目的です。
AIとの向き合い方|ナビゲーションは「地図」を描く補助になる
AIは、
- 情報を整理する
- 関連性を洗い出す
- 抜けや重なりに気づく
こうした作業が得意であり、ナビゲーション設計においても、地図を描く補助としては、とても有効。
ただし、
- どこを入口にするか
- どの道を太くするか
- どこは今は見せないか
この判断は、人が行う必要があります。ショッピングモールの設計図を最終的に決めるのが人であるように、ナビゲーションの判断軸も、人の仕事です。
まとめ|ナビゲーションは、最初に決める設計
- ナビゲーションはメニューではない
- 訪問者が迷わず歩ける「道」の設計
- ショッピングモールの動線と同じ考え方
- 情報量より、順番と配置が重要
- 道ができると、自然に回遊が生まれる
ナビゲーションとは、後から整えるものではありません。
なので私は、ナビゲーションから設計します。
ナビゲーションは、人を誘導するためのものではなく、選択肢を示すための設計です。では、その選択の先に残る人とは、どんな人なのでしょうか。
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