AIを使い始めると、多くの人が最初に悩むのが「どのAIを使えばいいのか?」という問題です。
ChatGPTがいいのか、Geminiがいいのか。
それとも、別のAIを選ぶべきなのか。
でも私は、この問いそのものが思考を止める原因になっていると感じています。なぜなら、AIは「ひとつに決めるもの」ではなく、役割ごとに配置するものだからです。
AIは、ひとつに決めて使い続けるものではありません。
むしろ、役割ごとに使い分けた方が、思考も判断も、ずっと健全に保てると感じています。
この記事では、「AIを使い分ける」という考え方を軸に、プロンプトに依存しない、これからのAIの使い方を構造と実体験の両面から整理していきます。
なぜ「ひとつのAIに決める」発想が生まれるのか
AIを使い始めたばかりの頃は、「これひとつで全部できるAI」を探しがちです。
理由はとてもシンプルで、
- 正解を外したくない
- 遠回りしたくない
- できるだけ効率よく使いたい
という気持ちがあるからです。
ですが、この発想は無意識のうちに「判断」をAI側に預けやすくします。
ひとつのAIに依存すると、そのAIの答えが「正解」に見えやすくなり、考える前に選ばされる状態が生まれてしまいます。
AIに判断を預けすぎることのリスクについては、こちらの記事でも詳しく書いています。

AIは「万能ツール」ではなく「役割を持つ道具」
現実の仕事や制作の現場では、
- ペン
- ノート
- カメラ
- デザインツール
をすべて同じ道具で済ませることはなく、用途に応じて、自然に使い分けています。
AIも同じで、違うのは、見た目が似ているだけ。
本来AIは、
- 思考を整理する役
- 発想を広げる役
- 構造を組み立てる役
- 表現を生成する役
といった役割を持つ道具です。

もし私がプロンプトを使うとしたら?基本的な順番
今、私はほとんどプロンプトを使っていないのですが、もしプロンプトを使うとしたら、次のような順番でAIを使います。
① 思考を壁打ちするAIを用意する
最初に使うのは、自分の考え方や口調、判断基準を理解しているAIです。
ここでは、正解を出すことは求めず、
- 何を考えているのか
- どこに迷っているのか
- どこが引っかかっているのか
を言葉にするための相手です。
② 別のAI、または新しいアカウントを用意する
次に、文脈を持たないAIを用意します。
- 感情が入らない
- 過去のやり取りがない
- クセがない
このAIは、純粋な道具として使います。
③ ②のAIでプロンプトを使う
ここで初めて、プロンプトを使います。ただし目的は、「答えを決めること」ではなく、
- 選択肢を出す
- 視点を広げる
- 構造を崩す
ための材料を集める工程です。
④ ③の結果を①に戻し、自分の言葉で整える
最後に、プロンプトで出た内容を最初のAIに戻します。
- 何を採用するか
- 何を捨てるか
- どんな言葉で出すか
判断するのは、必ず自分です。
この工程を挟むことで、AIは一度も「正解」になりません。
プロンプトがうまくいかない理由は「技術」ではない
プロンプトがうまくいかない原因は、書き方やテンプレート不足ではなく、
多くの場合、
- 判断をAIに任せようとしている
- 目的が言語化されていない
- 自分の言葉がまだない
という前提の問題です。
プロンプトは命令文ではなく、思考を外に出すためのメモに近い存在なのです。
だからまずは、自分の考えを一度AIと対話しながら「言語化」する。
そのプロセスについては、こちらの記事でより深く説明しています

さらに、プロンプトなしでAIと対話する方法については、こちらの記事が実例までわかりやすいです。

ネット上にあるプロンプトをそのまま使うときの注意点
SNSやネット上で流れているプロンプトを、そのまま使うことには、ひとつ注意点があります。
それは、生成される文章が「自分の言葉」ではなく、プロンプトを作った人の文章になりやすいという点です。
AIは、与えられた指示の文脈や語彙、構造を忠実に再現しようとします。
そのため、同じプロンプトが広く使われるほど、似たような文章がネット上に増えていきます。
同じような表現、同じような構成の記事があちこちに並ぶ理由は、ここにあります。
プロンプトがうまくいかない理由は、書き方やテンプレの問題ではありません。
人間側の思考が、まだ言葉になる前段階にあるだけです。だから私は、プロンプトを考える前にAIと壁打ちをします。
思考を外に出し、判断を自分の手に戻す。プロンプトは、そのあとで十分です。
どう使うと本質的に効果が出るかを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

また、プロンプトを使わなくても思考を引き出せる方法を、具体例とともに書いた記事もあります。

AIを使い分けることで、判断は人間側に戻る
AIを役割ごとに使い分けると、
- どこで考えるか
- どこで広げるか
- どこで決めるか
が自然に分かれます。
その結果、「決める」という行為が常に人間側に残り、これが、AIを使っても思考が奪われない理由です。
画像生成でAIを使い分けるのは、すでに当たり前
たとえば、画像を作るとき。
文章生成に使っているAIをそのまま画像生成に使わない人は多いはずです。
- 画像は画像向きのAI
- 文章は文章向きのAI
この使い分けをしている時点で、私たちはすでにAIを役割で選んでいて、文章でも、同じことが起きているだけです。
これからのAIの使い方は「選び方」ではなく「配置」
これから重要になるのは、
という視点です。
思考の入口に置くのか。
途中の生成に使うのか。
表現だけを任せるのか。
この配置が決まれば、ツールが変わっても迷いません。
まとめ
- AIはひとつに決める必要はない
- 役割ごとに使い分けた方が思考が守られる
- プロンプトは入口ではなく途中工程
- 判断は常に人間側に残す
- 重要なのはAIの性能より配置の設計
AIは、考えることを代わってくれる存在ではなく、考えるための材料を並べてくれる存在です。
ひとつのAIに頼るのではなく、複数のAIを役割として配置する。この使い方は、AIが進化するほど、ますます重要になっていくはずです。
この考え方は、AIを少し触っただけでは、なかなか見えてきません。
プロンプトを集めたり、AIに書かせたり、便利さに頼った時期を経て、それでも違和感を感じた人だけが、ようやくたどり着く視点だと感じています。
AIを使い続けると、使い方そのものよりも、「どんな距離感で向き合うか」の方がずっと大切だと分かってきます。
これからのAI活用で大切なのは、「どのAIが最強か」ではありません。
AIを、どこに置くか。
思考の入口に置くのか。
生成だけを任せるのか。
判断は、どこに残すのか。
この配置が決まれば、ツールが変わっても、迷うことはなくなります。

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