無料ブログ(Amebloなど)やSNSで、発信やサービス提供を始める人はとても多くなりました。
手軽に始められて、初期費用もかからず、すでに人が集まっている場所。そう聞くと、「まずはここから」と思うのは自然なことです。
でも、少し不思議なことがあります。
同じようにサービスを提供しているはずなのに、ある人は「これは事業だ」と自然に考えられて、ある人は「なんとなくやっている感覚」から抜け出せない。
その差は、能力や努力の量ではありません。
多くの場合、「場所(プラットフォーム)」がつくる感覚の違いです。
この記事では、なぜ無料ブログ(Amebloなど)やSNSが「悪気なく」事業の感覚を鈍らせてしまうのか。そして、その延長線上にある「特定商取引法に基づく表記」との関係について、構造の視点から整理していきます。
無料ブログやSNSは「守られている場所」に見える
無料ブログやSNSには、共通した特徴があります。
- アカウントを作ればすぐ使える
- デザインやシステムを考えなくていい
- ルールや規約が最初から用意されている
この環境は、とても親切です。
特に、発信を始めたばかりの人にとっては「安心できる場所」に感じられます。
でも、この安心感こそが、ひとつの錯覚を生みます。
「自分が責任を持っている」という感覚が育ちにくい理由
プラットフォームが「前に立ってくれる」構造
無料ブログやSNSでは、利用規約・決済の仕組み・システム管理など、多くの部分をプラットフォーム側が担っています。
その結果、利用者はこう感じやすくなります。
- 何かあっても、運営が対応してくれそう
- ルールは自分で決めなくていい
- 深く考えなくても、流れに乗れば大丈夫そう
これは「甘え」ではなく、そう感じるように設計されているのです。
「自分が提供している」という実感が薄れる
本来、サービス提供とは
- 何を提供するのか
- いくらで
- どんな条件で
- どこまで責任を持つのか
を、自分で決める行為です。でもプラットフォーム上では、その多くが「見えないところ」で処理されてしまいます。
結果として、
という状態が起きやすくなります。
特定商取引法が「遠い話」に感じてしまう構造
「ちゃんとしている人向けの話」に見えてしまう
特定商取引法に基づく表記と聞くと、
- ちゃんとした会社の話
- 大きなサービスの話
- 自分にはまだ早い話
そう感じる人は少なくありません。
でもこれは、知識不足というより環境がそう思わせているケースが多いのです。

無料ブログでは「境界線」が見えにくい
独自ドメインのホームページでは、
- ここからがサービス
- ここまでは情報提供
- ここからは契約
という境界線を、自然と意識することになります。
一方、無料ブログやSNSでは、
- 投稿の延長でサービス案内が始まり
- メッセージの流れで申込みが入り
- いつの間にかお金が動く
ということが起きやすい。この「境界線の曖昧さ」が、法律や責任を自分ごととして捉えにくくしてしまいます。
私は「知らなかった側」ではない
私はWebデザイナーとして、長く制作の現場に関わってきました。
そのため、特定商取引法に基づく表記や、サービス提供に必要な最低限のルールについては、「知っていて当たり前」「設置していて当然」の前提で仕事をしてきました。
だからこそ、無料ブログやSNSでサービス提供を始める人たちを見たとき、「なぜここが抜け落ちてしまうのか」という疑問を、何度も感じることになります。
それは、個人の意識や勉強不足の問題ではありません。
多くの場合、最初に立った場所が、そう感じさせない構造になっているだけなのです。
事業の感覚は「意識」ではなく「構造」で育つ
ちゃんとしよう、では続かない
「ちゃんとしなきゃ」
「勉強しなきゃ」
この気合いで整えられるものは、長く続かず、事業の感覚は、気持ちではなく、日常的に触れる構造で育ちます。
そのため、1円以上の有料サービスを販売するのであれば、その時点で特定商取引法に基づく表記を設置しておく。
それは「ちゃんとしている証明」ではなく、自分が事業の場に立ったことを、自分自身に示す行為だと私は考えています。
自分で決める場所に立つということ
- 表示内容を自分で決める
- 責任の所在が明確になる
- 境界線を自分で引く
この環境に立つことで、特定商取引法は「義務」ではなく自然な確認事項に変わっていきます。
無料ブログが悪いのではない
誤解してほしくないのは、無料ブログやSNSが「悪」だという話ではありません。
発信の入口として、思考の整理として、人と出会う場所として、とても優秀なツールです。
ただ、1円以上の有料サービスを提供するのであれば、無料ブログであっても、SNSであっても、やることはたったひとつ。
「特定商取引法に基づく表記」のページ設置方法
無料ブログを使っている場合は、記事として作成します。SNSのみで発信している場合は、無料ブログや無料ホームページを使ってページを作成します。
※ プラットフォームは問いません。「ページとして存在していること」が重要です。
STEP1で作成したページのURLをコピーします。
SNSでサービスを案内している場合は、そのURLをプロフィールページのリンク欄に追加します。
有料サービスを案内しているページの一番下に、「特定商取引法に基づく表記」へのリンクを設置します。
※ 可能であれば、申込フォームに「特定商取引法に基づく表記を確認しました」というチェック欄を設けておくと安心です。
申込前に一度立ち止まって確認してもらうことで、提供条件や責任範囲を、双方が同じ前提で共有できます。これは、キャンセルやトラブルを防ぐための「確認のための設計」です。
これは「形式を整えるため」ではなく、サービス提供者としての責任範囲を、自分自身で明確にするための設計です。
それだけで、「発信」と「事業」の境界線は、きちんと引かれます。

まとめ|鈍るのは感覚、原因は構造
最後に、この記事の要点を整理します。
- 無料ブログやSNSは「守られている感覚」を生みやすい
- その結果、事業の責任や境界線を意識しにくくなる
- 特定商取引法が遠い話に感じるのは、個人の問題ではない
- 事業の感覚は、意識ではなく構造で育つ
- 自分で決める場所に立ったとき、ルールは自然に必要になる
もし今、「なんとなく違和感がある」「このままでいいのかな」と感じているなら、それは十分すぎるほど、次の段階に進む準備ができているサインです。


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